2008年08月25日

 うーん、やられた……という感じ。
 前半は、ずいぶんと間抜けなストーリーだと思った。シーンそれぞれはジャンヌ・モローとモーリス・ロネゆえ緊迫感のある演技だと感じたが、でも、ずいぶんとお粗末なストーリーだと思ってしまった。だって、完全犯罪を計画した元軍人が、うっかりとロープを忘れたりするかね。しかも、忘れたことに気づいたとき、あわてて車にキーを付けっぱなしにしたり、ピストルを置いたままにするだろうか。まあ、素直に考えれば、あまりにも抜けた展開だよな。
 
 さらに、車を拝借した小僧とその恋人の場当たり的な殺人というのも、あまりにもご都合主義かつ偶然の連続。こりゃ計画的な完全犯罪が、偶然の連続による結果的完全犯罪に破れる展開なのかと思ってしまった。その間、ジャンヌ・モローは街を徘徊するだけの、これまたあまりにも間抜けなところばかり。てっきり「お間抜け映画」なのかと思った。
 
 しかし、いつのまにかストーリーそのものにハマってしまったな。いやー、スリリングだった。最後の結末もよし。なんともビミョーなカタルシスを覚えた映画であった。多くの人が評しているように、マイルス・デイビスの奏でるBGMがじつに合っている。
 
 それにしてもこの映画、ケータイとデジカメだけに馴染んだいまどきの若者には、設定そのものが理解できないのでは、と思ってしまう。だって、エレベーターに閉じこめられたら、「ケータイで連絡すればすむじゃん」という反応になりそうだもんな。最後の写真の場面だって、銀塩写真ならではの展開だしね。


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