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media]胡散臭さ

 ついに逮捕されたホリエモン。強制捜査が入ったころから、最初から胡散臭いヤツだと思っていた、だとか、やはり汗水流して働いていないから、だとか、マネーゲームの末路、だのといった批判があちこちからあがっている。まあ、それはそれで一つの批判ではあろうが、オレとしては、胡散臭さを突っつく気にはなれない。

 ホリエモンは最初から胡散臭いヤツでしたよ(笑)。がしかし、あたらしいビジネスに取り組む人など、胡散臭く見えるに決まっているわけだよね。いままで誰もやろうとしないことをやる、誰も儲けられなかったことで儲けようとする、誰も価値を見いだせなかったものに価値を付けるわけなんだから、そりゃ胡散臭く見えるに決まっている。ホンダだって、東通工だったそうだったはずだ。
 汗水云々って論調にしたって、そりゃ士農工商的発想だよね。マネーゲームったって、べつに元手の大きさや運だけで勝負がつくんじゃないわけじゃん。高等数学を駆使した相当高度な頭脳プレイだよね。筋肉使うのが尊くて、脳味噌を酷使するのは怠惰だというのなら、そりゃ体育会偏重だっつーの(笑)。英米の投資銀行でファンド・マネージャをやってる人なんて、大学で数学や数理工学、大学院で経営学を勉強して専門知識を鍛え上げ、マネージャ職に就いてからは、たいがい一日18時間労働なわけで、休みもほとんどない。五年で燃え尽きてしまうというぐらい、過酷な仕事なわけだよね。ハゲタカだって苦労しているのだ(笑)。
 M&Aも株式分割も敵対的買収も、そりゃビジネスの手法にすぎないんだしね。ライブドアをもって実体がないだの虚業だのとバッシングするのは簡単だが、事業の実体なんてものは、あとから付いてくることだってあるんちゃうか。西武グループの創業者・堤康次郎だって、ペテンにペテンを重ね、計画倒産までやって土地をだまし取り、儲けだけを目的として事業をふくらませてきたわけだよね。結局、立志伝的人物のビジネスなんて、多かれ少なかれ実体のない虚業に支えられたもんなんじゃなかろうか。だから、亀井静香的論調に与したいとも思わないっすな。
 今回、オレなりに思うのは、ホリエモンの罪はただ一点、粉飾決算にあると思う。市場から資金を調達してビジネスを行っている者が、市場でのゲームの大前提となる決算をごまかしたんじゃあ、救いようがない。これで東証マザーズという市場そのものが信頼を失ったんではないのか。そしてこれは、中小企業やベンチャーにとって、深刻な事態を招くんじゃなかろうか。資金調達手段として直接金融を使えなくなりかねない、ということだからね。
 不良債権問題がクローズアップされて以来、銀行の貸し渋りや貸し剥がしが問題視されているが、銀行は貸し渋ってあたりまえだと思うぞ。だって、借金で集めたカネを又貸しするわけなんだからね。そりゃホイホイと貸すべきではないっすよ。そうなると、不動産を持っていないとか信用度の低い事業者は、街金に高利で借りるしかない、となってしまいそうだが、そこに直接金融の存在価値があるわけだよね。とりわけ、ベンチャーのような新規事業に対し、銀行は絶対にカネを貸すべきなのではなく、直接金融こそが機能すべきだ。今回の事件は、そういう芽を摘んでしまったことが最も憂慮すべきことだと思う。
 それにしても、上場にあたっての審査とか、企業監査というのは、どうしてこうもザルなんだろうか。会計の専門家によっては、ライブドアの有価証券報告書を詳細に調べてみれば、粉飾決算の可能性は十分に読み取れる、と指摘している。上場企業であれば、たしかに有価証券報告書は公開されているのだから、投資家各人がそれをキッチリ調べるべきだし、十分に調べられないのであれば投資などするな、という自己責任論にも一理あるだろう。しかし、監査という制度がある以上、それを通過した結果を信頼するというのは、ひとつの前提と考えていいはずだよね。
 このあたりは偽装マンション問題の自己責任論と通ずる。この件だって、安すぎる物件を買った人の責任という批判があるわけだけど、公的な審査制度があり、それを通過した事実を確認することが自己責任の範囲なのであって、制度の信頼性そのものまでをも末端の購入者がチェックする責任などないし、できようはずがない。
 まあ、話があっちゃこっちゃに飛んでしもうたが、今回の件で、オレはホリエモンという経営者にはダメを出したい。それは、粉飾決算をやったという、その一点からである。

posted by masayuki eshita at 2006年01月23日 11:02 |

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