開設:2025/12/30
最新更新日:2026/1/9

これまでに収集したフランスの女性誌(主としてファッション誌)に関するコンテンツを徐々に増やしていきます。
【更新情報】
(2026/1/9)手持ちのデータを掲載しました。
(2026/1/8)データの一部を公開しました。
(2026/1/8)サイトの枠組みを設定しました。
フランス誌1:主なデータ収録の対象
実用商業誌
Petit Echo de la Mode
Femme d'Aujourd'hui
Modes et Travaux
Mode de Paris
Femme de France
第二次大戦前の婦人誌
現代的な家庭誌
ティーン誌
20 ans|15 ans|Muteen
Jeune et Jolie
Mlle Age Tendre
実話系雑誌Confidences|Nous Deux
ève|Notre Coeur

Modes et Travaux

第一次大戦後の1919年にEdouard Boucheritが創刊した雑誌です。生活にゆとりのある都会的でオシャレな主婦層をターゲットにしており、誌名からもわかるとおり、服飾や手芸をおもに取り扱っています。2025年時点でもなお発行が続いており、創刊から100年以上にわたり、1,000を優に超える号を送り出しています。ピーク時には100万部を超える発行部数を記録した、フランスの出版界を代表する女性誌のひとつです。型紙が付録(supplément)として付けられることもあるように、実用性を重視した方針がうかがえます。
創刊からしばらくは月2回の発行でしたが、第二次大戦中のヴィシー政権時代に月刊となり、大戦後も引き続き月刊誌として続きました。多くの女性誌が発行の中断あるいは休刊に追い込まれたなかで、"Modes et Travaux"は途切れることなく発行を続けています。しかし、1970年代以降の部数減は止まらず、2021年時点で月平均23万部、2024-2025年にはACPMの販売部数ランキングの100位圏からも姿を消しています。


【参考資料】
江下雅之「第三共和政以降を中心とするフランスの女性誌出版状況」『情報コミュニケーション研究』(2022)
柳沼恭子「Modes et travaux(モード・エ・トラヴォー)Paris:Editions Edouard Boucherit, 1919-」『文化女子大学図書館所蔵服飾関連雑誌解題・目録』(2005-09, p.17)

創刊から第二次世界大戦直後まで:1933〜1939

歴史ある雑誌なので "Le Petit Echo de la Mode"と比較しながら雑誌の形態変化を比較できます。創刊から6年目の1925年に発行された号は冊子体という雑誌らしさは出ているものの、2色印刷の表紙は Echoと比べてもシンプルです。雰囲気が大きくかわるのは誌名から "Féminins"が取れた1930年代で、スタイリッシュな女性のデザイン画を載せた雰囲気は、同時期の高級モード誌 "Le Jardin des Modes"に近いともいえます。雑誌の重心が travaux(手芸)よりも modes(服飾)に置かれたのかもしれません。この点についてはいずれ細かく分析しようと思います。

1925年 1930年 1931年 1932年 1935年 1936年
ヴィシー政権 Régime de Vichy 時代と戦後混乱期:1940〜1949

出版事業の暗黒時代ともいえる1940年代前半にあって、表紙のデザインは1930年代後半の傾向を維持して「おしゃれ」が前面に出ているあたりに、出版社の意地を感じます。1941年時点では月2回発行していたようですが、1942年には月刊になっています。他誌の動向を踏まえれば刊行ペースが落ちるのはやむをえないことでしょう。1944年には二ヶ月分の合併号となり、実質的に隔月化しています。表紙には価格が表示されています。1936年に4フランだったのが1940-1941年には5フランと緩やかに上昇したのに対し、1942-1943年には7.5フラン、1944年は10フラン、1945年は15フラン、1946年にはついに20フランと、急速に値上がりしています。そして1947年は20フランのままでしたが1948年は30フラン、1949年にはついに40フランとなりました。10年間で10倍の値上げというように、戦後の激しいインフレの影響がうかがえます。


【参考資料】
日本銀行「フランス経済の立ち直りと金融正常化」

1940年 1941年 1942年 1943年 1944年 1945年
1946年 1947年 1948年 1949年
戦後復興から五月革命まで:1950〜1969

1950年代・60年代には雑誌の雰囲気に変化が見られます。50年代の始めはスタイリッシュな表紙デザインのままでしたが、1954年にはイラストではなく写真が使われるようになり、モデルの姿はシックな装いになってきました。子役と一緒の構図もあります。1960年代はシンプルな装いの女性の立ち姿が表紙を飾り、派手ではないけれど趣味のいい主婦というイメージが伝わってきます。
本体価格は1959年に100フランとなります。インフレ対策として1960年にデノミネーションが実施され、それまでの100フランが新1フランとなりました。1961年の本体価格は新1フラン、1969年は1.5フランなので、デノミ後の値上げは一服した状態です。

1950年 1951年 1952年 1953年 1954年
1955年 1956年 1957年 1959年 1961年 1962年
1962年 1963年 1964年 1965年 1966年 1967年
1967年 1968年 1969年
五月革命後から1990年代まで:1970〜1999

戦後に生まれた世代がターゲット年代に入ってきた1970年代にあって、少なくとも表紙からうかがわれる雰囲気に急変はみられません。しかし、家庭誌全般の売れ行き低化が続くなかで、1970年代後半には他誌と同様の変化がみられます。モデルの写真が大きくなり、腰から上の構図が中心となりました。1980年代半ば以降はバストトップになっています。この点は強力なライバル誌 "femmes d'aujourd'hui"とおなじです。1984年には通巻1,000号を突破しました。2019年11月号(未入手)が100周年記念号となっています。

1970年 1971年 1972年 1973年 1974年 1975年 1976年 1977年
1978年 1979年 1980年 1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年
1987年 1988年 1990年 1991年 1994年 1995年 1998年

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