教授からこの本をゼミで報告してくれないかと突然言われ、ひいひい言いながら読んでいるところです。まだ最後まで読み終わってはいないのですが、途中で悲しくなるやら腹が立やらで、どう感情を抑えて報告するか悩んでしまっていることろです。
前々から感じていたことではありますが、フランスの日本、特に日本経済研究はアメリカに比べて10年から20年遅れているといえましょう。この本にしても、やたらと「総合商社」の脅威を強調したり、通産省の行政指導を保護主義の元凶のように非難しているのです。10年前のアメリカによる対日批判が、そのまま繰り返されていると見てよいでしょう。それに、この本は日本をいろいろと非難し、フランス、そしてヨーロッパを正当化している割に、統計データの比較もないし、たまに引用される数字も間違いだらけ。マスコミのセンセーショナリズムにそのまま便乗し、自己正当化だけを試みた内容と言っていいような気がします。例えばマイケル・ポーターの著作などと比較して、あまりの内容のなさに唖然としてしまいます。正直なところ、このような不見識な著者達が知日派として通用しているとしたら、これはむしろフランスにとって不幸なことでしょう。
最近こそフランスでも日本を研究しようという機運が盛り上がっているようですが、依然としてそれは極く一部にすぎません。しかし、フランスが世界4位の経済「大国」と自慢したところで、日米と比べれば周回遅れのトップにすぎません。日本にいると日本の社会問題がいかにも深刻で、とても「経済大国」などと自慢できる状態ではないと思われがちです。しかし、我々はまだ周回遅れの国に対しても学ぼうとする姿勢があるだけ「まし」だと思うのです。かつて世界を制したオランダが、ポルトガルが、そしてスペインが、現在完全に黄昏ている姿を私は単に本の上の出来事としか感じなかったのですが、この本を読んでいるうちに、イギリスやそしてフランスの「衰亡」が何となく実感できるような気がしてしまいました。EC統合の夢、なんだかそれは消え絶える直前の蝋燭の炎ではないかという気さえするのです...。